リフォームも中盤戦。今回は、手付かずだった和室をどう再生させたかというお話です。 当初、私は「畳さえ新しくすればいいか」と考えていました。しかし、そこで起きた「畳屋事件」が、私の職人魂に火をつけたのです。
🏃♂️ プロが現場を見て逃げ出した?「畳屋事件」
地元の業者にお願いしようと、近くの畳屋さんに電話をしました。しかし、約束の時間になっても現れない。買い出しから戻ると、どうやらその間に来ていたようなのですが……。
現場で本格的な内装工事(壁紙の死闘など)を一人でこなす私の姿や、積み上がった資材を見たからでしょうか。私が「同業者」だと思ったのか、それとも「厄介な素人」だと思ったのか、その畳屋さんは二度と姿を見せませんでした。
「よし、それなら畳は全部捨てて、洋室に変えてやる!」 私の決断は一瞬でした。
🏎️ 25万円の「2シーター・FR・マニュアル車」で爆走
畳の処分は、産業廃棄物として出すと重量で計算されるため、かなりの高額になります。そこで私は、25万円で購入した中古の軽トラックを投入しました。

この軽トラ、実はマニュアル車。 「2シーターでFR(後輪駆動)のマニュアル……これって実質、マツダのロードスターみたいなもんじゃないか?」 運転好きの私は、切り刻んだ畳を荷台に積み込み、クリーンセンターへと何度も往復しました。電動丸ノコで畳を解体するのは重労働でしたが、軽トラを操る時間は、私にとって最高のリフレッシュタイムでもあったのです。
💰 原価1万円の「劇的ビフォーアフター」
畳を剥がした下地にフローリングを貼っていくのですが、ここでも「価格の魔法」を実感しました。
- プロの相場: 約20万円〜
- 今回の材料費: 約1万円(ホームセンターのフローリング材)
接着剤で貼り、壁との境目には「幅木(はばき)」を回します。ここで使うのが、打ち込んだ後に頭がポロリと取れる「隠し釘」。力の加減を間違えると失敗する繊細な作業ですが、仕上がりは自分でも惚れ惚れするほど。パッと見では「素人の仕事」とは分からないレベルに到達しました。
🎨 「材料不足」が生んだ奇跡の2トーン・デザイン
ふすまも、あえて剥がさず上から壁紙を貼って「洋風」にアレンジ。 ここで計算外のトラブルが発生します。「ブルーの壁紙が足りない!」
買いに走るのも時間がもったいない。そこで、3枚あるふすまのうち1枚だけを「白」で貼ることにしました。 「これはミスじゃない、あえての2トーン・デザインだ」 自分に言い聞かせながら仕上げてみると、これが意外にも大正解。リビングとの繋がりも良く、遊び心のあるおしゃれな空間が出来上がったのです。

🏠 「壁を壊さない」というプロの美学
今回の再生で、私はあえて「壁を抜く(間取り変更)」ことはしませんでした。 構造を熟知しているからこそ、「もともとの間取りが良いなら、それを活かすのが一番長持ちする」という結論に至ったからです。無理に壁を壊して耐震性を損なうより、表面の「美学」を整えることに全神経を注ぎました。
こうして、あのボロボロだった和室は、私の執念と軽トラの活躍によって、爽やかな洋室へと生まれ変わったのです。
屋根の上の「時限爆弾」。太陽光システムの罠
実は、この家にはリフォームの技術云々以前に、もう一つ大きな「爆弾」が隠されていました。 屋根の上に鎮座する、太陽光発電システムです。
通常、中古住宅に太陽光が載っている場合、売主と買主が協力して名義変更を行うのがルールです。
しかし、ここは競売物件。
元の所有者が協力してくれる保証などどこにもありません。
何より私が恐れたのは、「太陽光ローンの残債」でした。
不動産の所有権を手に入れても、太陽光システムの権利は別物です。
もし多額のローンが残っていたら、せっかく安く落札したメリットが吹き飛んでしまいます。
📞 メーカーへの突撃。そして「奇跡」の回答
「もしここで数十万の持ち出しが発生したら、赤字になりかねない……」 井戸を掘らなければならなくなった誤算もあり、私の資金計画は崖っぷちでした。
私は必死に型番からメーカーを割り出し、震える手で電話をかけました。
「あの、競売で落札した物件の太陽光なんですが、債務はどうなっていますか?」
返ってきた答えは、予想外のものでした。
「……確認したところ、その債務はすでに『放棄』されています」
つまり、元の所有者の支払いが滞り、メーカー側が回収を断念(損切り)した状態だったのです。 これには心底、安堵しました。
名義変更の手続きも進められる。
ローンを肩代わりする必要もない。
まさに九死に一生を得た瞬間でした。
道路の権利問題、井戸の掘削……次々と襲いかかる試練を潜り抜け、なんとか「赤字」の文字を回避した私の前に、いよいよ「完成」の文字が見えてきたのです。
……しかし、内装が整い、いよいよ快適な生活が見えてきたその時。 最後の伏兵、「エアコン設置」で最大の危機が訪れます。
(第26話へ続く)


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