【第24話】130平米の孤独。天井から「重力」に叩き伏せられた日

八街再生ストーリー

今回は内装の要、「壁紙(クロス)貼り」の記録です。 家一軒丸ごと、クロスを張り替え、クッションフロアを敷き、ふすまも新しくする。当時働いていた三井ホームの工事監督に頼んで下請け業者から取った見積もりは、46万円でした。

「よし、自分でやろう」 ハウスメーカーの看板を横に置き、私は一人の職人として立ち上がりました。材料費を計算すると、壁紙代が5万円、クッションフロアが1万円。ふすまも「洋風にする」というコンセプトで壁紙を貼ることにしたので、合計わずか6万円弱

自分の手間賃はタダ。40万円を浮かせるための、孤独な戦いが始まりました。

🧩 階段に現れた「テトリス」と、夏の魔物

作業は真夏。エアコンもない家の中は、まさにサウナ状態です。 まず立ちはだかったのは、階段の壁紙。普通に脚立を立てても、段差があって上まで手が届きません。そこで私は木材を切り出し、階段の段差をピッタリ埋める「テトリスのような専用の足場」を自作しました。平場になったその上に脚立を載せ、なんとか高所を攻略していきます。

しかし、これはまだ「序の口」でした。本当の地獄は、天井に待っていたのです。

😭 「お母さん!」と叫びたくなった、天井との死闘

2階の14畳ある続き間の洋室。天井には1メートル幅の長い壁紙が、一直線に貼られていました。 はがすときは能天気に何も考えず。バリバリバリ、バリバリバリと楽なもんです。

YouTubeを見ると、職人さんは魔法のようにスルスルと貼っていく。「自分にもできる」……そう思ったのが、悲劇の始まりでした。

本職は10万円以上する「糊付け機」を使います。
これは、壁紙を入れると糊付けをしてくれて、しかもプロは壁紙と壁紙の間にビニールのテープ状の専用素材を入れて、カットする準備をするのですが、それも貼り付けてくれる優れものです。
後から考えれば買ってしまえばよかったんですよ、この道具。
私はケチって手塗りの道具で糊を塗りました。
まず作業台になる構造用合板を加工して台を作ります。

この時の作業台は現在、自宅の物置に化けています。


そして、そこに壁紙をスーッとロールから巻き出してきて置いて、そこに手で糊を塗っていく。
天井までの高さは2m60cmぐらいなので、構造用合板180cmから少しはみ出しますが、そんなに難しい作業ではありません。

しかし、のりを塗った壁紙。これが重い。想像を絶する重量になります。
また、扱いを間違えると破れやすいんです。それはそうですよね。濡れてる紙なんですから。

いざ天井に貼り付けようとすると、貼った端から、重力に負けてペラーっと剥がれ落ちてくるのです。 どこかを押さえれば、別の場所が剥がれる。手が足りない。糊でベタベタになりながら、一人で支えようとしても、物理的に不可能なのです。

初日は、たったの10センチも貼れませんでした。 54歳にもなって、誰もいない暑い部屋で、剥がれ落ちる壁紙を前に呆然と立ち尽くす。 情けなくて、孤独で、本当に「お母さん!」と叫びたくなりました。

🛠️ 無駄なペンキ塗りと、執念の「澤井オリジナル道具」

「下地の石膏ボードに糊が吸い付かないのが原因か?」と考え、私は天井全部をペンキで塗るという、今思えば全く無駄な作業に一日を費やしました。部屋が汚れないよう床を養生し、上を向いてペンキを塗るのはそれだけで重労働。しかし、乾いた後に再挑戦しても、結果は同じ。やはり壁紙は重力に従って落ちてきました。

「YouTubeの奴らは、みんな手練れのプロなんだ……」 騙されたような気分になりながらも、私は諦めませんでした。そして、独自の道具を開発したのです。

  1. 「長い板」に発泡スチロールを貼った保護板: 手という「点」ではなく「面」で壁紙を天井に押し付けるため。
  2. 「突っ張り棒」: 板を天井に押し付けたまま固定するため。

これでようやく、一人でも壁紙を天井に定着させることができました。

🎨 プロの配色を「パクり」、完成した爽やかな空間

もう一つ、苦労したのは「真っ直ぐ貼ること」です。位置を直そうとすると剥がれ落ちるため、途中で4メートルごとに切るという妥協もしました。少し斜めになりましたが、「白の無地なら目立たない!」と割り切りました。

壁紙の色は、三井ホーム時代に一流のインテリアコーディネーターたちが決めていた配色をそのまま拝借して多用。天井は明るめの色が鉄則です。

  • 薄いピンク
  • 薄いブルー プロが選ぶ色は間違いありません。仕上がった部屋は、自分の苦労を忘れるほど明るく、爽やかな空間に生まれ変わりました。
    壁紙は壁紙の専門店まで買いに行きました。 これも結局他の多くの素材と一緒なんですが、素材の値段自体は大したことないんですよね。
    だからランクが高めの壁紙にしても大した金額にはなりません。 DIYされる方は思い切ってグレードの高い壁紙を選んでもいいと思います。

46万円の見積もりを6万円に抑えた代償は、全身の筋肉痛と、54歳のプライドをズタズタにする孤独感でした。しかし、この経験が私を「本物のプロ」へと一歩近づけてくれたのです。
DIY全般を通して私が感じたのは、あの工事費は結局職人さんの生活費が含まれてるっていうことです。材料代は大したことないと感じました。
それはそうですよね。職人さんたちは生活かかってるんですから。しかも、出来上がりは素人とは比べ物にならないぐらい綺麗ですからね。

……さて、内装が整ったところで、次はいよいよ「エアコン設置」。 ここで、あわや大爆発!?という、今だから笑える最大のピンチが訪れます。

(第25話へ続く)


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