駐車場を作るために、15平米の土間コンクリートを打つことにした。
近所の業者に見積もりを取ると「8万円」。
意外と安いな、頼んじゃおうかな……という誘惑が頭をよぎったが、私は思い直した。
「それじゃあ、この『実験』の意味がない。」 自力でやればいくらで済むのか。
その好奇心だけで、私は地獄の作業に足を踏み入れた。
営業マンを泣かせる「残土」の正体
まずは地面の掘削だ。道路より20センチ高い敷地を解消するためには、気の遠くなるような量の土を掘り出さなければならない。
土というのは、掘り起こすと驚くほど嵩(かさ)が増す。
私はハウスメーカー時代、この「残土処理費用」で何度お客さんと工事担当の板挟みになったことか。
「プロなんだから、最初から土の量くらい分かるでしょ!」と怒るお客さん。
「掘ってみなきゃ分かんないっすよ、追加費用もらわないと無理っす」と動かない工事側。
その間でもみくちゃにされた営業マン時代の記憶が、スコップを持つ手に重くのしかかる。「残土、バカにならねえ……」
あまりの辛さに、YouTubeで「ミニユンボ」の価格を調べてしまったほどだ。

現実に引き戻され、私は一輪車(ネコ)を買い、掘った土を隣の「ジャングル化した元所有者の実家」へと、広く浅く、隠すように捨てさせてもらった。

これをまともに産廃処理していたら、それだけで数万円が飛んでいたはずだ。
軽トラが沈む、0.5立方の迫力
コンクリートを打つ前には、土台となる「砕石(さいせき)」を敷かなければならない。
私はホームセンターで木材を買ったついでに、無料貸し出しの軽トラックを借りた。
そのまま近くの金物屋(石材屋)へ向かう。
本当は「目的外使用」で怒られるかもしれないが、背に腹は代えられない。
「駐車場15平米分なんだけど」と伝えると、30代くらいの店員さんが「じゃあ0.5リューベ(立米)だね」と、ブルドーザーでガサァッ!と砂利を積み込んできた。
その瞬間、軽トラの車体がみるみる沈んでいく。
サスペンションが悲鳴を上げ、限界まで縮まったのが分かった。
「おいおい、大丈夫かこれ……」しかし店員さんは慣れたもので、わずか20秒で積み込みを終え、「はい、2,000円ね」と一言。
ホームセンターで袋売りの砂利を買うのがいかに馬鹿らしいか、その圧倒的な安さに驚愕した。
とまらない恐怖体験
走り出した瞬間、私は後悔した。
アクセルを踏んでも加速しない。
それ以上に怖かったのが、ブレーキだ。
「止まらない!」 重すぎて、ブレーキを踏んでもズルズルと進んでしまうのだ。
私は信号が赤になるずっと手前から、祈るような気持ちでブレーキを踏み続けた。
「ダンプの運転手って、こんな化け物みたいな重さを操ってるのか……」 プロたちの持つ技術とノウハウの凄みを、身をもって痛感した。
ホームセンターの貸し出し時間は1時間。
現場に戻り、私は狂ったように砂利を荷台から下ろした。
計算違いだったのは、金物屋が意外と遠かったことだ。
ならす時間などない。
ただ山のように砂利をぶちまけ、猛スピードでトラックを返しに行った。
「ちょっと遅かったですね」という店員の言葉に、「いやー、手こずっちゃって」と苦笑いするしかなかった。
8万円 vs 6,000円
再び現場に戻り、山積みの砂利を丁寧に平らげた。
その上に、ホームセンターで買ってきたワイヤーメッシュ(鉄筋の網)を敷いていく。
1枚500円のメッシュを8枚、計4,000円。
- 砕石:2,000円
- ワイヤーメッシュ:4,000円
- 合計:6,000円
プロの見積もり8万円に対し、かかった費用は今のところ10分の1以下だ。
しかし、まだ勝負は終わっていない。
ここから「生コンクリート」をどう調達し、どう流し込むか。 私は再び、自分の「甘い考え」に打ちのめされることになる。
(第12話へ続く:生コン車を呼ぶ勇気。一発勝負の流し込み)
ビック・リボーン・エステートのホームページへhttps://www.bicreborn.com/


コメント