第10話:15,000円のハツリ機。文明の利器と、止まらない爆音

八街再生ストーリー

前回の「ハンマー事件」で、私は身をもって知った。

筋肉では、八街の「リブロック」には勝てない。

「もう、文明の利器に頼るしかない。」 私は近所にある中古工具の専門店へと車を走らせた。

15,000円の賭け

店内に並ぶ「ハツリ機(電動ブレーカー)」の群れを前に、私は圧倒された。

片手で持てるような小型から、道路工事で使うような巨大なものまでレベルは様々だ。

あの大ハンマーを跳ね返した塀を壊すには、一体どの程度のパワーが必要なのか。

「……新品のプロ用は高すぎる。でも、中古でもデカいのは結構な値段だ。」

結局、予算と見た目のバランスで、15,000円の中ぐらいのサイズの一台を選んだ。

ふと見ると、先端の金属部品(ノミ)がかなり使い込まれており、元の長さの3分の2ほどに摩耗している。

「固いものを砕き続けると、鉄もここまで削れるのか」と、これから始まる戦いの過酷さを予感させた。

さらに私は、ホームセンターで射撃場のダーティハリーが付けているような、ゴツい防音イヤーマフも購入。
準備は整った。

左下が摩耗したノミ部分。ここまで消耗するほど使われた機械だと思いますが、全然使えました。

「バカバカバカ!」快感と爆音

現場に戻り、イヤーマフを装着。

ハツリ機を塀に固定し、スイッチを入れた。

「バカバカバカバカバカバカ!」

凄まじい振動と爆音。

しかし、あんなに頑丈だったリブロックが、面白いように、あっけなく砕け散っていくではないか。

「これだ。これが文明の力だ!」10メートル続く塀を壊すのはさすがに時間がかかったが、ハンマーを振っていた時の絶望感はない。

あまりの爆音に、向かいのおじさんが出てくるかと思ったが、意外にも誰も来なかった。

イヤーマフのおかげで、私は自分だけの世界で「破壊の快感」に没頭することができた。

消えた廃車と、怪しい来訪者の「下見」

作業に没頭していたある日、ふと背後に気配を感じて振り返ると、そこにはインド人風の怪しい男が立っていました。

自称「中古車屋」だという彼は、私の家の隣、つまり母屋の敷地に放置されていた「例の軽バン」を指さして聞いてきました。それは長年放置され、荷物が満載のまま朽ち果て、私の目にはただの鉄屑にしか見えない代物です。

「あの車、あなたのものですか?」

「いや、隣の人のだよ。俺は知らないな」

そう答えると、男はさらに踏み込んだ質問を投げかけてきました。

「あなたは、いつもここにいるんですか?」

私は深く考えず、「いや、仕事の休みの日だけ。火曜か水曜しか来ないよ」と正直に答えました。男は「わかりました」とだけ言い残し、立ち去っていきました。

🚚 翌週、現場で感じた「違和感」の正体

そして翌週。現場に着いた瞬間、私は自分の目を疑いました。
……あの軽バンが、影も形もなく消えていたのです。

その瞬間、すべての点と線が繋がりました。
あの男が私のスケジュールを確認したのは、隣人と会いたいからではなく、「私がいない隙に盗み出すため」の最終チェックだったのです。

私の目には動かない廃車に見えても、海外への販路を持つ彼らにとっては、部品取りに最適な「価値ある資源」だったのでしょう。
車が停まっていた場所の草は不自然に短く、明らかに重量物が移動した生々しい跡が残っていました。

🏠 「八街」という土地の死角

一応、私の現場は20軒ほどの戸建てが並ぶ区画です。
しかし、驚くほど人の目が届かない。
「車屋が古い車を引っ張っていった」と言われれば、近所の誰も違和感を抱かない。
あんな大きな「鉄の塊」が、白昼堂々と、あるいは私がいない深夜に、音もなく消えてしまう。

「八街で家を直すということは、こういうカオスとも隣り合わせなんだ」 消えた軽バンの跡を見つめながら、私はこの土地の「洗礼」を、改めて突きつけられた気がしました。

「ゴミ」を「資源」に変える発想

さて、作業の話に戻りましょう。
問題は大量に発生したブロックの残骸でした。

本来なら廃棄物として捨てるところだが、私は作業をしながらあることを思いついた。

この敷地は道路より20センチ高い。

駐車場にするには土を掘り下げる必要があるが、道路との境に「法面(傾斜)」を作る際、この砕いたブロックを土留めとして再利用すればいいのではないか。

土より固く、水はけもいい。

「ゴミ」が「資源」に変わった瞬間だった。

これで処理の手間も費用も浮く。

安物買いの「悟り」

このハツリ機はよく働いてくれたが、

実は並行して同じ店で買った「中古の電動ドライバー(1万円)」は、使い始めてすぐに根本からポロッと折れてしまった。

プロ用が4〜5万円するのには理由があるのだ。

前の持ち主が手放すほど使い込まれた中古工具は、見えない場所が悲鳴を上げている。

「道具は、少々高くても新品のプロ用を買うべきだ。」15,000円のハツリ機が教えてくれたのは、機械の力強さと、道具選びのシビアな真実だった。

塀をなぎ倒し、視界が開けた西側の庭。

そこには、次なる強敵「0.5立方の砕石」と「坂道」が待ち構えていた。

(第11話へ続く:砕石0.5立方の衝撃。軽トラのブレーキが効かない!)

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