第12話 手だれのおじさん登場!コンクリート打ちの極意

八街再生ストーリー

砕石を敷き終え、メッシュも張り終わった。

いよいよ、生コンクリートを流し込む段階がやってきた。

これについても、私は事前にYouTubeでずいぶん勉強していた。

方法は大きく分けて二つあるようだった。

一つは、ホームセンターでセメントや砂利などの材料を買ってきて、自分で少しずつコンクリートを練り、50センチ四方くらいの範囲ごとに打っていく方法。

もう一つは、ミキサー車を手配して、生コンクリートを一気に搬入する方法だった。

自分で材料を買ってきて練るやり方は、かなり手間がかかる。

しかも、どこか“素人仕事”っぽい感じがした。

私がこのとき考えていたのは、単なるDIYではなく、将来的に独立後、中古住宅を再生して販売する仕事につなげていくことだった。

そう考えると、ミキサー車を使う方法を一度経験しておくほうが、後々きっと役に立つ。

そう判断して、私は迷わずその方法を選んだ。

さっそく生コン会社に電話をして、「ミキサー車を頼むと、いくらくらいかかるんでしょうか」
と聞いてみた。

すると、まず必要量として「15平米なら1.5立米ですね」と言われた。

厚みを10センチで打つ前提だから、そういう計算になるらしい。

ただ、その量はプロの感覚では“少量”らしく、「少量追加の料金がかかります」と最初に言われた。

私は少し身構えた。

少量だと、かえって割高になるのではないかと思ったからだ。

そこで、「それはいくらですか」と聞くと、「1万5,000円です」と言う。

私は思わず、「え?」となった。

その金額が、あまりにも安く感じられたからだ。

最初は、ミキサー車を手配する“車両代”だけで1万5,000円なのかと思った。

ところが話を聞くと、そうではない。
生コンクリートをミキサー車で現場まで運び、それを流し込むところまで含めて、全部で1万,000円だというのである。

正直、驚いた。

というのも、私が勤めていた某三井ホームでは、たとえば50平米くらいの土間コンクリートを打つと、外構工事費として50万円前後かかる感覚だったからだ。

もちろん、だからといって三井ホームの金額が不適切だと言いたいわけではない。

実際には、いろいろな業者さんが関わり、いろいろな社員が関わり、間違いのない品質のものをつくり上げる。

そこには当然、中間コストも管理コストもかかる。

結果として、お客様が支払うべき金額がそのくらいになるのは理解できる。

それでも、私の中では大きな発見だった。

ここまでにかかった砕石とメッシュの費用は、わずか6,000円ほど。

そこに生コン代1万5,000円を足しても、合計2万1,000円にしかならない。

つまり、材料ベースで見れば、驚くほど低コストでできてしまうということだ。

もちろん、職人さんの手間賃は別である。
ただ、このときはその作業を自分でやるつもりだった。

「いや、えらく安いな……」そう思いながらも、私はすぐに発注をお願いした。

さらに、コンクリートは後でひび割れしにくくするために、最初に木で枠を組んで区切っておく必要がある。

YouTubeで見たような50センチ四方の細かい区切りではなかったが、私は15平米の面積をざっくり4分割する形で枠を作ることにした。

そして、後から木を引き抜きやすいように、あらかじめビニールを巻いておいた。

準備は整った。

いよいよミキサー車が来る当日。

私は現場で、ひとり待ち構えていた。

しばらくして、ミキサー車がやってきた。

それは思った以上に立派な車で、私は改めて「これで全部込みで1万5,000円なのか……」
と驚いた。

やがて、運転手のおじさんが降りてきた。

そして、私の顔を見るなり、少しきょとんとした表情を浮かべた。

「……あれ? 一人?」私は何も考えずに、「ええ、そうですけど」と答えた。

すると今度は、「一輪車は?」と聞いてくる。

私は、「一輪車ならありますけど……必要ですか?」と返した。

上が一輪車。他の作業のために買ったもの。あって助かった!

今思えば、この時点で私は何もわかっていなかった。

おじさんは言った。

「そりゃそうだよ。これ、どうやって生コンを運ぶの?板は? 一輪車、こんなデコボコの
メッシュの上じゃ押せないよ」私は本気で意味がわからなかった。

こちらとしては、ミキサー車から生コンをダーッと流し込んで、あとはザッザッとならせば終わるものだと、勝手に思い込んでいたのである。

そこで、「ここにそのまま流し込んで、ならせばいいんじゃないんですか?」と答えた。

おじさんは完全にあきれた顔をした。

おそらく、この瞬間に“こいつは完全な素人だ”と見抜いたのだと思う。

「いやいやいや、生コンって、そんなに柔らかくないから」そう言われて、私は初めて事態を理解し始めた。

ただ、このおじさんが本当に優しかった。

職人上がりだったのか、あるいは現役の職人さんでもあったのかもしれない。

次の現場があるので時間は限られていたのだが、そのわずかな時間の中で手伝ってくれる
ことになったのである。

これは本当に助かった。

つまり、私が勘違いしていたのはこういうことだった。

ミキサー車で運ばれてくる生コンクリートを、私は液体のようなものだと想像していた。

だから、流し込めば自然に広がって、多少自分で表面を整える程度で済むと思っていた。

ところが、実際は全く違った。

生コンはいったん一輪車に受けて、そこから自分が固めたい場所まで運び、そこで流し込み、さらに均していく必要がある。

勝手に遠くまで流れていってくれるわけではないのだ。

そうなると当然、一輪車で運ぶための“通り道”が必要になる。


しかし、一輪車はメッシュの上をそのまま押せない。

だから、その上に板を渡して道をつくらなければいけないのである。

一輪車だけは、別の作業――最初に土を隣地に運ぶため――に使うつもりで、たまたま用意してあった。

だが、板までは準備していなかった。

「板、ありません」という状況になり、私は一瞬、かなり絶望的な気分になった。

ところが、よく探してみると、一枚だけ板があった。

この一枚が、まさに命綱になった。

その板を少しずつ動かしながら、一輪車を進める。

また板を前に置き直し、一輪車を押す。

そんなことを繰り返しながら、なんとか目的の場所まで生コンを運ぶことができた。

そして、ここでまた私にとって完全に想定外だったことがある。

コンクリートは、驚くほど固まるのが早いのだ。

体感では、15分もすると、もうコテが効きにくくなるほど硬さが出てくる。

だから、現場は大忙しだった。

あのおじさんが最初に「お前、一人なのか?」と聞いた意味が、ここでようやくわかった。

生コンを運び、流し込み、ならしていく。

この作業を一人でやるのは、ほぼ不可能だ。

あのおじさんが手伝ってくれたからこそ、なんとか形になったのである。

そこから先は、完全におじさんが現場監督、私が作業員という構図になった。

「はい、それはこっちに持ってきて」「ならすのは俺がやるから」「次、早く持ってきて」

そんなふうに指示を受けながら、私はひたすら汗をかいて、生コンを運び続けた。

そして、そのとき私が思わず見惚れてしまったのが、おじさんの手つきだった。

当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、あまりにも鮮やかだった。

コテを使って、シュッシュッシュッと表面をならす。

そのあと、ちょんちょんちょんと軽く叩く。

すると、不思議なくらい自然に、生コンクリートの表面が平らになっていくのである。

見ていると、本当に簡単そうに見える。

ところが、いざ「お前もやってみろ」と言われて自分でやってみると、まるでうまくいかない。

私なりに一生懸命やっているのに、表面はザラザラ、デコボコのまま。

まったく平らにならない。

そこで私は、つくづく思った。

ああ、これが“手だれ”ということなんだな、と。

道具は同じ。

材料も同じ。

やっていることも、見た目には同じ。

それなのに、出来上がるものはまるで違う。

職人の技術というのは、こういうところに出るのだと、その日私は身をもって思い知ったのである。

その結果、現場には、出来のまったく違う二つの土間コンクリートが並ぶことになった。

出来上がった土間コン。写真ではわかりづらいが、全然出来が違う。

おじさんが仕上げた部分は、見ていて惚れ惚れするほどきれいだ。

それに対して、私がやった部分は、どう見ても粗い。

同じ材料を使い、同じ現場で、同じように作業しているはずなのに、仕上がりには

歴然とした差が出ていた。

私は作業をしながら、小さな声でおじさんに言ってみた。

「いや……おじさんがやったままのほうが、全然きれいじゃないですか」ところが、

おじさんは聞こえているのかいないのか、特に反応もしない。

「黙って、さっさとやれ」そんな調子だった。

仕方がないので、私は言われるままに作業を続けた。

そして結局、思った通り、最後には“明らかに出来の違う二つのコンクリート”が出来上がった。

そのとき私は、改めて思った。

職人さんの腕というのは、本当にすごい。

頭ではわかっていたつもりでも、こうして自分でやってみると、その差は想像以上だった。

本当はこのあと、さらに最後の仕上げ作業があるらしかった。

ところが、そこで時間切れになってしまった。

おじさんは次の現場へ行かなければならないという。

私は最後に、素直な気持ちでこう言った。

「いやあ、さすがおじさんがやったところ、ものすごくきれいですね」するとおじさんは、少し呆れたような顔をしてこう言った。

「何言ってんだよ。こんなの、売り物になんないよ」そして、そのまま帰っていった。

私はその言葉を聞いて、なるほどな、と思った。

これが職人魂というものなのだろう。

私から見れば十分すごい。

十分きれいだ。

実はその後、私はどうしても仕上がりが気に入らず、自分なりにYouTubeを見て研究し、

もう少しきれいにできないかと手を加えてみた。

しかし、結局最後まで思うようにはならなかった。

当たり前といえば当たり前なのだが、素人が少し動画で勉強したくらいで、そう簡単にきれいな

仕上がりになるわけではない。

そんな、ごく当然のことを、私はここでもまた思い知らされたのである。

それでも、なんとか土間コンクリートを打ち終えることはできた。

今までただの土だった場所が、コンクリートの土間に変わった。

それだけで見栄えは大きく変わり、現場全体が引き締まって見えた。

「ああ、やってよかったな」私は素直にそう思った。

何より、そこに車を置ける場所がきちんとできたのである。

・第13話 駐車場完成 しかし地中から現れた新たな地雷に続く。

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