ああ、固定資産税
私はこの家を一年半ほど所有していた。
その結果、固定資産税を払うことになった。
固定資産税というのは、1月1日時点の所有者に請求が来る仕組みだからだ。
もっとも、プロジェクトを始めた当初は、まさかこれが一年半もかかるとは思っていなかった。
だから正直に言えば、この固定資産税の支払いは予定外の出費だった。
ただ、払ったことで思わぬメリットも一つあった。
それは、この固定資産税の納税通知書が、近くのクリーンセンターを利用するための“通行手形”になったことだ。
ちなみに、私はこの家のために住民票を移したわけではない。
住民票はそのまま自宅のある場所に置いていた。
引っ越して住んでいたわけではないから、それは当然だった。
そうなると、私が八街市内に家を持っていることを公的に示せる書類は、実質この固定資産税の請求書くらいしかない。
そして、クリーンセンターの入口でそれを見せると、
「はい、では持ち込んでいいですよ」
という感じで、ゴミを受け入れてもらえたのである。
これは本当に助かった。
最高の産業廃棄物処理場
家庭ごみを持ち込めるだけでもありがたいのだが、八街では切った木まで持ち込めた。
これがとにかく大きかった。
もちろん、あまりに大きい木は別の処分先に持っていかなければならなかったが、それでもかなり使い勝手がよかった。
しかも、産業廃棄物としてプロに処理を頼むのとは違って、費用はかなり安く抑えられる。
この差は大きい。
何しろ、この家の中は、まるで
「つい5分前まで誰かが住んでいました」
というような状態で、家財道具がそのまま残されていた。
普通の中古住宅というより、生活の痕跡が丸ごと置き去りにされていたのである。
だから私は、このクリーンセンターをかなり使い倒した。
とにかく持ち込んで、捨てて、また持ち込む。
この繰り返しだった。
さらに、残置物の処理で、もう一つ非常に役に立った仕組みがあった。
それが「くらしのマーケット」だった。
頼りになる!くらしのマーケット
くらしのマーケットには、
「軽トラ1台で1万円、なんでも回収します」
というようなサービスがある。
私はこれを利用した。
軽トラック1台というと、重さの目安としてはだいたい350キロくらいらしい。
ただ、実際の家財道具というのは、重さより先に“かさ”でいっぱいになる。
つまり、重量制限より前に、荷台の容量のほうが先に限界に来るのだ。
私はこのサービスを3回使った。
だから、くらしのマーケットにかかった費用は合計で3万円ということになる。
一見すると、それでもそれなりの出費には見える。
だが、残置物撤去を普通に業者へ一式で頼めば、50万円前後かかっても全然おかしくない。
そう考えると、この差はとてつもなく大きい。
しかも、くらしのマーケットの業者さんは、ただ積むだけではない。
運び出しまで手伝ってくれる。
こちらからすると、処分サービスであると同時に、一人分の人工を雇っているようなものだ。
そう思えば、むしろかなり安い。
結局、公共のクリーンセンターを利用したことと、くらしのマーケットを組み合わせたことで、この家の残置物処理にかかった費用は、全部でおそらく6万円くらいで収まったと思う。
これはかなり大きかった。
もし何も考えずに、最初から全部を専門業者任せにしていたら、費用は一気に膨らんでいたはずだ。
このプロジェクトは、ただでさえ井戸や道路や浄化槽など、見えないところでお金がかかる。
だからこそ、抑えられるところは徹底的に抑える必要があった。
そういう意味では、固定資産税の請求書も、クリーンセンターも、くらしのマーケットも、全部が“現場を前に進めるための武器”だったのだと思う。
ただし、こういう話は時期によって事情が変わる。
ゴミ処分のルールは年々厳しくなっているし、今では当時と同じようには持ち込めないかもしれない。
実際、後になって行ったときには、入口での身分確認も以前よりずっと厳しくなっていた。
だから、あの頃と同じ感覚で使えるとは思わないほうがいい。
それでもあの時の私にとって、固定資産税の請求書は、単なる税金の通知ではなかった。
余計な出費でもありながら、同時に現場を前に進めるための“通行手形”でもあったのである。
「第19話 隣のサラリーマン大家との再会。現場は家だけじゃない」へ続く


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